お知らせ
日本建築学会技術報告書 第28巻 第68号に「既存分譲マンションの浸水対策
改修とその費用対効果に関するモデル的検討」が発刊されています。
→https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/28/68/28_442/_pdf
既存分譲マンションにおいて浸水対策工事を実施するには、区分所有者の合意形成
が必要であり、その際費用対効果の検討は重要になります。
典型的と思われるマンションモデル(都心型、郊外型)及び前提とするハザードマップ
軽度(想定水深30cm)、中度(想定水深50cm)、重度(想定水深150cm)を設定し
その浸水対策と対策工事の実費費用ならびにその費用対効果等を検証し、浸水対策の
適用性を検討しています。
検討結果から、浅い浸水に対して脆弱な施設への被害を防ぐ対策の効果が高いこと
確率年10~30程度の浸水事象の影響の大きいことがうかがえます。
対策実施に向けた管理組合内での合意形成に資すると考えられ、リスクが見込まれる
既存マンションにおいて、長期修繕計画を見直す際に本手順を参考に水害対策の検討
が進展すると思われます。本手順とは別に金額で示し難い停電や断水等に伴う影響の
考慮や専有部分や駐車車両の被害の問題も重要です。特に電気設備に関して電力会社
管轄分は計上していませんが、建物の機能維持全般に関わる重要設備であり、復旧に
長期を要した場合の生活への影響も考慮する必要があります。駐車場が浸水被害を受
けた場合の個人所有の車両被害にも留意し、対策の可否を検討する必要があります。
費用対効果が見込まれる対策がなされた場合、住宅市場における消費者の適切な評価や
災害保険料の引き下げなどのインセンティブにつながることが望まれます。
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