コラム
2020年8月より、不動産業者が取引当事者に交付・説明する重要事項説明書において水防法上のハザードマップ説明が義務化されました。
しかし、重要事項説明書の内容は多岐に亘り、水害の危険性を具体的にイメージできたという方は少ないのではないでしょうか。
ハザードマップは極端な大雨が降った場合の話で、ほとんどそのような事態は発生しないと思いこんでいる方もいらっしゃいます。
水害リスクがある場所では、実際に数日間浸水した状態を想像してみるとよいと思います。
ハザードマップには浸水した深さが記載されています。例えば浸水の深さが0.5メートルならば
大人の膝くらいまでの深さになります。その状態で買い物に出ることはおそらくできないでしょう。
水が完全に引くまで数日かかるでしょうから、いつもの道順でお店や駅にいけないかもしれません。
排水管から水が逆流してくるかもしれず、その場合、家庭から出る汚水や雑排水を排水できないかもしれません。
その場合どうしたらよいのでしょうか?
浸水の深さが3メートルとなると一般的な一戸建ての1階部分が完全に水没するレベルになります。
浸水深さが6メートル以上という場所もあり、この水準になってくると、早急に高台へ避難する必要が出てくるでしょう。
高台の避難所でも周囲が浸水したままなら孤立してしまうかもしれません。その場合は域外への避難ということも、
視野に入れておく必要がありそうです。
以下のリンクから国土交通省が作成したフィクションドキュメンタリー動画「荒川氾濫」が視聴できます。
→https://www.youtube.com/watch?v=D7RDBj340xY&list=PLGPrWqYtg2HnHbgFmGgg9B0160gcfMUaS&index=2
洪水の恐ろしさや避難について考えてみるきっかけになります。
浸水リスクのある場所で一戸建てを購入するなどの場合、火災保険の水災補償をかけておくことは重要だと思います。
しかし、水災補償があれば安心かというと必ずしもそうではないことに注意が必要です。保険金が支払われるには
一定の要件が必要で、一般的には、同等の建物を新築する場合の金額の30%以上の損害を受けた場合や
床上浸水または地盤面から45センチメートルを超えて浸水した場合といったルールがあります。しかも損害の程度
によって保険金額が変わりますし、仮に全損だったとしても損害額の7割程度が保険金額の上限となっています。
床下浸水の場合や45センチメートル未満の浸水に対して保険金は出ないということにも留意しておくべきです。
19年に関東を襲った台風19号は、荒川が氾濫する寸前だったと言われています。今後、同レベルあるいはこれを
超える台風が到来する可能は低くはないでしょう。洪水リスクが少なからずあるエリアで住まいを購入するか、または既に
そういったエリアで暮らしている場合、洪水を具体的にイメージしながら、どこに避難すべきか家族で話し合う、数日間
耐えられる程度の水や食料品などの備蓄をするなど、準備をしておくことはとても重要なことだと思います。
建物の浸水対策で気になることや質問があれば是非当社までお問い合わせください。
PAGE
TOP