コラム
近年、豪雨や台風などによる浸水被害が全国各地で相次いでおり、もはやどこに住んでいても水害リスクは避けられない時代となってしまいました。特に降雨量の多い夏の時期は、頻繁に水害関係のニュースを目にします。このような日本の背景から建物や施設を浸水から守るための対策がますます重要視されているのは間違いありません。この記事では、水害対策グッズとして注目されている防水板(止水板)について、その種類や仕組み、設置場所ごとの特徴をわかりやすくご紹介いたします!
起伏式防水板は、床に埋め込んだ板を起伏させて(引き上げて)使用する止水板です。
起伏式防水板は、平常時は床の中に収納されており、必要時には床面のレールやヒンジに沿って上昇・降下する仕組みのため、使用しないときは通行や車両の出入りを妨げません。
電動と手動がありますが、電動のものは洪水や内水氾濫の際に水位変動に合わせて防水板が自動的に動くため、実際の水害時に扱いやすいタイプの止水板です。
・地下駐車場の出入口
・マンホール周辺の歩道
・地下街や商業施設のアクセス通路
・工場や倉庫の荷捌きスペース
スイング式防水板は、吊り戸のように板をスライドさせて使う止水板です。
スイング式止水板は、普段は開閉可能な扉のような構造で、浸水時にパネルをドアのように回転(スイング)させて止水位置に固定するタイプの止水板です。常設型で、緊急時でもすぐに対応できるのが特長です。片側ヒンジで壁に取り付けられており、開口部の片側にスペースが確保できる場所に最適です。
・住宅の玄関先やガレージの排水口
・商業施設の通路や設備開口部、バックヤード
・地下室の排水溝周辺
・マンションの出入り口
脱着式防水板(設置式防水板)は、平常時には取り外して保管し、必要時に手動でパネルを設置するタイプの止水板です。軽量なパネルを使用し、迅速な取り付けが可能です。
アルミ合金などの軽量素材で作られたパネルを、あらかじめ設置されたガイドレールに挿入して固定し、床面との密着を保つことで水の侵入を防ぎます。こちらは高い止水性能を兼ね備えながら、その他のタイプより比較的に設置場所を選ばない汎用性の高いタイプです。設置場所の不要時には容易に取り外しができ、収納性にも優れているのも特徴のひとつです。
・住宅やマンションの玄関前
・車庫や駐輪場の出入口
・店舗のシャッター前
・インフラ設備周辺
・工場・製造所の出入口
スライド式防水板は、出入口や窓枠などの開口部に設置し、内部への浸水を防ぐ可動式の防水装置です。使用時には板をスライドさせて溝に嵌合させ、水圧に耐えうるバリアを形成します。平常時は収納できるため、景観や通行の妨げになりません。
スライド式はレールやガイド溝に沿って防水板を水平に移動させる構造です。操作は手動または電動で行い、迅速な展開が可能です。板と枠の接触面には専用のシール材が使われ、高い密閉性を確保します。
・大型のビルなど、間口の広い入り口
・エレベーターなどの入り口
・地下階段入り口
シート式防水板は、柔軟性のあるシート素材を専用の収納ケースやレールに格納し、浸水時に引き出すことで展開し、開口部を遮断する簡易設置型の防水ソリューションです。壁面やサッシ回りに固定金具を取り付け、平常時はコンパクトに収納。水位上昇時に手動で取り出し、固定具にセットするだけで防水効果を発揮します。
シート式は、シートそのものが防水性能を担う点が最大の特徴です。展開・収納の手軽さに優れ、⾼さ調整が可能なため、ゲリラ豪雨や洪水対策に幅広く対応します。収納ケース内のシートはロール状または折り畳み式で、自重による張り出しで隙間を抑え、水圧に強いガスケットやシール材で縁部を密閉します。
・住宅のポーチや勝手口
・商業施設の搬入口
・倉庫や仮設施設の開口部
「ウォーターシャッター」は、大規模な浸水被害を防ぐために開発された高性能な脱着式止水板です。最大高さ1958mm、幅は制限なく延長可能な構造で、40mを超える間口やスロープのある地下駐車場など、特殊な立地条件にも柔軟に対応できます。
最大の特長は、その圧倒的な止水性能です。Pボルト(上下方向)とワンタッチレバー(水平方向)の2点加圧方式により1㎡あたりの漏水量はわずか0.4ℓ(コップ一杯程度)と極めて少なく、JIS基準に照らすと最高等級「Ws-6」に相当。独自の「ダブルロックシステム」によって、高水圧や流木などの衝撃にも強く、浸水を強力にブロックします。
また、軽量かつ堅牢なアルミ中空構造パネルを採用しており、1mあたり約2.8kgと非常に軽く、1枚あたりの高さは約160mm。女性や高齢者でも一人で持ち運びや設置ができる設計で、緊急時の迅速な対応を可能にします。他社の同等製品と比較して約半分の重さでありながら、耐久性・止水力ともに優れたバランスを誇ります。
・地下鉄出入口
・キュービクル周辺
・マンション・公共施設出入口
・臨海⼯業地区出⼊⼝
「ウォーターシャッターライト」は、誰でも簡単に設置できる手軽さと、高い止水性能を両立した脱着式止水板です。特別な施工や工具を必要とせず、低コストで導入できるため、小規模施設や住宅における浸水対策に最適な一台です。
導入しやすい価格設定ながら、設置のしやすさ、収納時のコンパクトさ、そして止水性能の3点において優れたパフォーマンスを発揮。「まずは簡易な止水対策を始めたい」という方にも最適で、費用対効果の高い防水ソリューションです。
簡易設置モデルでありながら、止水性能はJIS A 4716の漏水量等級「Ws-4」に準拠。1㎡あたり1時間の漏水量はわずか5.1ℓと、高水準の防水性を実現しています。急な大雨や短時間の水位上昇にも対応でき、安心して使用可能です。
・一般住宅の出入口
・小規模店舗の出入口
・地下室や倉庫の出入口
・地域の自治体施設の非常用止水設備
「ウォーターシャッターブラインド」は、降雨や増水に応じて自動的に閉じる機構を備えた止水板です。人がいない状況でも自動で動作し、建物内への浸水を未然に防ぎます。特に無人時間帯がある施設や設備に最適な自動止水ソリューションです。
水位の上昇を感知すると自動的にシャッターが閉まり、浸水を防ぐ「オートクローズ機能」を搭載。手動操作が不要なため、緊急時や不在時でも確実に止水が行えます。夜間や休日における安心感が大幅に向上します。
性能面でも妥協はありません。JIS A 4716に基づく「Ws-4」等級に準拠し、1㎡あたり1時間の漏水量は5.1ℓと高水準。継続的な雨や一時的な増水にも耐える耐久性を備え、屋内機器や資産を水害から守ります。
・建物の通気口・換気口
・ビルの外壁小窓
・配電室・機械室の小開口部
・地下施設の排気口や吸気口
ひと口に防水板といっても、スイング式やスライド式、脱着式、シート式など、それぞれ構造や使い方に個性があります。設置する場所や頻度、コスト、そして誰が使うかによって、ぴったりなタイプは変わってきます。たとえば、頻繁に出入りがある施設にはサッと設置できる脱着式やスライド式が便利ですし、常設して目立たせたくない場所にはスイング式やシート式もおすすめ。最近は軽量タイプや自動で動く高機能モデルも登場していて、選択肢はかなり豊富です。
水害対策って、後回しにされがちですが、いざという時に「備えていてよかった」と思えるもの。この記事が、自分の建物や現場に合った防水板選びのヒントになればうれしいです。大雨の季節が来る前に、ちょっとだけ真剣に、止水対策を考えてみませんか?
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