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コラム

【最新】水害からマンションを守る!専門家が教える浸水対策

 

近年、台風や豪雨による都市部マンションの浸水被害が増加しています。地下駐車場や電気設備の水没、エレベーターの停止といった被害は、低層階だけでなく上層階の住民の生活にも深刻な影響を及ぼします。本記事では、まずマンションが抱える浸水リスクをどのように把握すべきかを整理し、浸水深の想定に基づいた対策の考え方を解説。さらに、実際に起きた被害事例やその後の対応を紹介し、資産と暮らしを守るための現実的な備えについて検討します。また、国や自治体が示すガイドライン、防災力向上マンション認定制度や補助金の活用など、制度面からの支援策もあわせて紹介。専門家の知見をもとに、管理組合が取り組むべき浸水対策を総合的に解説します。

 

はじめに:あなたのマンションは大丈夫?

 

近年、ゲリラ豪雨や台風が日常になりました。

「まさか、自分のマンションが?」そう思っていませんか?

2019年の台風19号では、多くのマンションが浸水し、停電や断水で生活機能が停止。高層階に住んでいても生活は一変しました。

マンションの浸水は、単に「部屋が濡れる」だけではありません。建物全体の機能停止という、想像以上に深刻なリスクなのです。

この記事では、あなたのマンションの浸水リスクを把握し、被害を未然に防ぐための具体的な対策を専門家の視点からお伝えします。

 

 

 

 

実際にあったマンション浸水被害ケース

 

2019年10月の台風19号では、東京都世田谷区の多摩川沿いにある複数のマンションが浸水被害を受けました。特に深刻だったのは、地下に電気設備を配置していた高層マンションです。

 

被害内容影響範囲復旧期間経済的損失
地下電気設備の水没全住戸(約200戸)約4ヶ月約2億円
機械式駐車場の浸水駐車場利用者(約150台)約6ヶ月約5,000万円
エレベーター停止全住戸(約200戸)約3ヶ月約3,000万円

 

浸水被害を受けたマンションでは、地下1階にあった受変電設備が完全に水没しました。その結果、建物全体が停電し、エレベーターや給水ポンプ、照明などすべての電気設備が使用不能になりました。

特に注目すべきは、10階建ての高層階に住む住民も、電気設備の停止により長期間の避難を余儀なくされたという点です。水が直接部屋に入らなくても、建物全体の機能停止により生活できなくなるのが、マンション浸水被害の特徴です。

 

被害を受けたマンションの管理組合では、修繕費用の調達や保険適用の手続きに多大な時間と労力を費やすことになりました。事前の対策と適切な保険加入の重要性が浮き彫りになった事例でもあります。

 

 

1. あなたのマンションが危ない?浸水リスクを正しく把握する方法

 

マンションの浸水対策を始める前に、まずマンションがどの程度の浸水リスクにさらされているかを正確に把握することが大切です。

浸水リスクの把握には、行政が公開している各種資料や、現地の地形・立地条件を総合的に分析する必要があります。

 

1-1. 2つのハザードマップを使い分ける

 

浸水リスクを正確に把握するため、洪水ハザードマップと内水ハザードマップの両方を確認することが必要です。多くの人が洪水ハザードマップのみを確認していますが、都市部のマンションでは内水氾濫による被害の方が深刻なケースも少なくありません。

 

【洪水ハザードマップ】

洪水ハザードマップは、河川の氾濫により発生する洪水による浸水想定区域と浸水深を示したものです。

特に注意すべき点は以下の通りです:

 

確認項目重要度確認内容
浸水深★★★マンション周辺の想定浸水深(0.5m未満〜5.0m以上の段階別表示)
浸水継続時間★★★浸水が始まってから引くまでの時間(12時間未満〜1週間以上)
河川からの距離★★☆氾濫する可能性の高い河川との位置関係
避難所の位置★★☆指定避難所までの経路と浸水想定区域の関係

 

【内水ハザードマップ】

内水ハザードマップは、下水道の処理能力を超える雨水が原因で発生する内水氾濫の浸水想定を示しています。都市部のマンションでは河川氾濫よりも内水氾濫の方が発生頻度が高いため、浸水対策にはもってこいの情報です。

マンションの場合、以下の設備が特に影響を受けやすくなります:

 

  • 地下駐車場
  • 機械室(電気設備、給水設備)
  • エレベーターピット
  • 地下の共用部分(倉庫、集会所など)

 

【地形・立地条件の詳細分析】

ハザードマップと合わせて、マンション周辺の地形や立地条件を詳しく分析することで、より精度の高いリスク評価が可能になります。

また、マンション建設前の土地利用履歴も重要な判断材料となります。以下のような場所に建てられたマンションは、特に注意が必要です:

 

過去の土地利用リスクレベル主な注意点
池・沼地          高地盤が軟弱で、雨水が集まりやすい地形
河川敷・旧河道          高過去に水が流れていた場所で、氾濫時に再び水路となる可能性
低湿地       中~高排水が悪く、内水氾濫が発生しやすい
埋立地          中地盤沈下により、周辺より低くなる可能性

 

 

2. 【タイプ別】効果的な浸水対策を徹底比較

 

マンションの浸水対策は、想定される浸水の深さによって適切な方法が大きく変わります。ここでは、浸水深を基準とした2つのレベルに分けて、具体的な対策方法とその効果を詳しく解説します

 

2-1. レベル1:浸水深1.0m未満の対策(床下・床上浸水)

 

浸水深1.0m未満の場合、比較的軽微な被害で済む可能性が高く、建物の機能を維持しながら被害を最小限に抑える対策が中心となります。この段階では、応急的な対策と恒久的な対策を組み合わせることで効果的な防護が可能です。

 

【応急対策(緊急時対応)】

対策名設置時間効果的な浸水深費用目安メリット・デメリット
土のう・水のう30分~1時間     ~50cm5,000~20,000円安価で入手しやすいが、設置に人手が必要
止水板10~30分     ~80cm50,000~200,000円迅速な設置が可能だが、保管場所が必要
吸水シート5~15分     ~30cm10,000~50,000円軽量で扱いやすいが、効果範囲が限定的

 

応急対策で最も重要なのは、事前の準備と迅速な対応です。特に止水板は、エントランスや地下駐車場入口などの主要な侵入経路に効果的で、多くのマンションで採用されています。

 

【恒久対策(建物改修)】

恒久対策では、建物構造そのものを改修することで、継続的な防水効果を実現します。主な工法は以下の通りです。

 

  • 地下開口部の改修:地下駐車場入口のスロープ改造、排水能力の向上
  • 防水扉の設置:エントランスや地下階への入口に水密性の高い扉を設置
  • 外壁防水処理:建物外周部の防水性能向上、クラック補修
  • 排水設備の増強:雨水排水管の口径拡大、ポンプ設備の追加

 

これらの対策にかかる費用は、マンションの規模や構造によって大きく異なりますが、一般的には100万円から500万円程度の予算が必要になります。

 

2-2. レベル2:浸水深1.0m以上の対策(本格的な恒久対策)

 

浸水深が1.0mを超える場合、建物全体の機能停止や長期的な使用不能状態が想定されるため、より大規模で本格的な対策が必要になります。この段階では、建物の根本的な改修や設備の移設が中心となります。

【建物構造の抜本的改修】

深刻な浸水に対応するためには、建物の構造そのものを見直す必要があります。特に重要なのは以下の対策です。

 

対策分野具体的な工法期待効果工期目安
基礎・地下部分防水壁の設置、基礎のかさ上げ浸水深2.0mまで対応可能3~6か月
電気設備受変電設備の上階移設、配線ルートの変更停電による二次被害を防止2~4か月
機械設備給排水ポンプ、非常用発電機の高所移設ライフラインの維持継続2~3か月

 

【重要設備の浸水対策】

マンションの機能を維持するために特に重要なのが、電気設備と機械設備の浸水対策です。

電気設備の対策では、受変電設備を地下や1階から上階に移設することが最も効果的です。この工事には通常200万円から800万円程度の費用がかかりますが、浸水時の復旧費用を考慮すると十分に投資価値があります。

 

3. 知っておきたい公的ガイドラインと認定制度

 

マンションの浸水対策を進める際は、国が定めるガイドラインや認定制度を活用することで、より効果的かつ体系的な対策が実現できます。これらの制度を理解し適切に活用することで、居住者の安全確保と資産価値の向上を同時に守ることができます。

 

3-1. 建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン

 

公的なものである「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、マンション管理組合が浸水対策を実施する際の重要な指針となっています。このガイドラインでは、電気設備の浸水被害を防ぐための具体的な対策方法が詳細に示されています。

 

【ガイドラインの主要内容】

ガイドラインは主に以下の4つの対策レベルに分類されており、想定される浸水深に応じて適切な対策を選択できるよう構成されています。

 

対策レベル想定浸水深主な対策内容費用目安
レベル10.5m未満電気設備の嵩上げ、防水扉の設置100万円~300万円
レベル20.5m~1.0m受変電設備の移設、止水板の設置300万円~800万円
レベル31.0m~3.0m電気室の上階移設、防水区画の構築、止水板の設置800万円~2,000万円
レベル43.0m以上全面的な電気設備配置見直し2,000万円以上

 

特に重要なのは、マンションの立地条件と想定浸水深を正確に把握し、適切な対策レベルを選択することです。過剰な対策は費用負担を増大させ、不十分な対策は災害時の被害拡大につながる可能性があります。

【具体的な対策手法】

具体的な対策手法として「電気設備の嵩上げ」が挙げられます。受変電設備や分電盤を想定浸水深より50cm以上高い位置に設置することが求められます。既存のマンションでは、専用の架台を設置することで対応ができます。

また、「防水区画の形成」も対策の一つです。電気室や機械室を防水扉や止水板で囲い、浸水を物理的に遮断します。この際、換気設備や配管貫通部の防水処理も同時に実施することが重要です。

予備電源の確保については、非常用発電機の設置位置を浸水想定区域外に配置することで、停電時の電力供給を維持できるようになります。

 

3-2. 防災力向上マンション認定制度

近年、多くの自治体でマンションの防災対策を評価する公的な認定制度が始まっています。浸水対策はこれらの制度で重要な評価項目となっており、認定を受けることでマンションの価値を高めることができます。

ここでは、その一例として各地の制度をご紹介します。

 

【各地の主な認定制度】

  • 横浜市: 「よこはま防災力向上マンション認定制度」
  • 東京都: 「東京とどまるマンション」事業(非常用電源等の導入支援)
  • その他: 多くの自治体でも、防災や耐震化に関連する独自の制度を設けています。

これらの制度は名称や内容は異なりますが、浸水対策や防災力向上への取り組みが高く評価される点では共通しています。

 

 

評価分野浸水対策関連項目
建物・設備電気設備の浸水対策、止水板設置などハード対策の実施
備蓄排水ポンプ、土のう、非常用電源などの備蓄状況
組織・体制浸水時の避難計画、連絡体制の策定
訓練・啓発浸水想定訓練の実施、住民への情報共有
共助・連携地域コミュニティや行政との連携体制の構築

 

認定を受けるためには、各分野で一定の基準を満たす必要があり、特に建物・設備分野では浸水対策の実施が高く評価されることが特徴です。

 

【認定取得のメリット】

  • 公的な認定を取得することで、以下のような具体的なメリットが得られます。
  • 資産価値の向上: 防災力の高さが公的に証明され、中古売買や賃貸で優位性を持ちます。
  • 保険料の優遇: 一部の損害保険会社では、認定マンションに対して保険料の割引制度を適用しています。

補助金申請時の優遇: 自治体によっては、認定マンションが補助金の審査で優遇されることがあります。

 

4. 費用を抑える!補助金・助成金の賢い活用法

 

マンションの浸水対策工事は数十万円から数百万円の費用がかかるため、多くの管理組合が費用面で二の足を踏んでいます。しかし、国や自治体では災害対策を推進するために様々な補助金制度を設けており、適切に活用すれば工事費用の30~50%を削減できる場合があります。

 

4-1. マンション浸水対策の補助金制度

 

多くの自治体では、マンションの浸水対策工事を対象とした補助金や助成金制度を提供しています。特に、国土交通省の「住宅・建築物安全ストック形成事業」などでは、マンションの共用部分における電気設備の嵩上げや止水板の設置工事が補助対象となることがあります。年度や地域によって異なりますが、工事費用の最大1/2、上限1,000万円程度の補助が受けられるケースも存在します。

しかし、補助金制度は常に変動します。必ず最新情報を確認し、申請条件や期間を事前にチェックすることが重要です。

 

 

補助金制度名補助率上限額主な対象工事
住宅・建築物安全ストック形成事業(国)1/2以内1,000万円電気設備の嵩上げ、止水板設置など
防災力向上マンション認定制度(横浜市など自治体)各自治体により異なる各自治体により異なる浸水対策工事など
耐震改修工事助成制度(多くの自治体)各自治体により異なる各自治体により異なる浸水対策を補助対象に含む場合がある

 

 

まとめ:今日から始める、あなたのマンションを守るロードマップ

 

これまでの解説で、マンションの浸水対策は、ただのコストではなく、マンションの安全と資産価値を守るための重要な投資であるとご理解いただけたかと思います。

今日のあなたの行動が、将来の大きな被害を防ぎ、住民の安心につながります。まずはハザードマップでリスクを確認し、理事会で対策を検討してみましょう。

 

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