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【2025年最新】水害事例に基づく病院の浸水対策ポイント

近年、豪雨や台風による病院の浸水被害が深刻化しています。地下に設置された電源や医療ガス設備が冠水すると診療機能が停止し、患者の安全に直結するリスクとなります。本記事では、実際の被害事例を踏まえ、重要設備の高所移設や排水ポンプ・非常用電源の強化といった建築面での対策、さらに防災訓練やBCP策定による運用面での工夫を解説。医療機能を止めないために病院が取り組むべき浸水対策の全体像をわかりやすく紹介します。

 

激しさを増す近年の豪雨や台風により、全国の病院で浸水被害が相次いでいます。この記事では、実際の水害事例を基に、病院が直面する浸水リスクと効果的な対策方法を解説します。重要設備の保護から職員・患者の安全確保、事業継続計画まで、医療機関が実践すべき浸水対策の全体像が理解できます。

 

1.病院における浸水リスクと想定される被害

病院は地域医療の中核を担い、24時間体制で患者を守る重要な施設です。しかし近年の豪雨や台風で浸水被害が頻発し、機能停止の危険が高まっています。特に地下に配置された自家発電機や医療ガス設備が冠水すると診療全体が麻痺し、さらに透析患者や重症患者など避難困難な人も多く、病院停止は生命に直結する重大問題です。

 

浸水リスクの種類主な発生要因影響範囲
外水氾濫河川の氾濫、高潮、津波建物全体、周辺地域
内水氾濫下水道・排水施設の処理能力超過地下階、低層階
地下水位上昇長時間の降雨による地下水位の異常上昇地下階、基礎部分

1-1.浸水被害が病院機能に与える影響(停電・医療ガス・給水停止など)

浸水被害が発生すると、病院の基本的な機能を支える重要なライフラインが連鎖的に停止してしまうケースがあります。

たとえば、停電は人工呼吸器や透析装置を止め、手術や救急搬送にも支障をきたし、さらにエレベーター停止で避難も困難になります。医療ガス供給が止まれば呼吸管理や手術も不能になり、給水停止は透析継続を妨げて、衛生管理も低下し感染リスクが高まります。

 

停止システム具体的な影響患者への危険度
電力供給生命維持装置停止、手術不可能、照明消失極めて高い
医療ガス供給酸素療法中断、手術用ガス供給停止高い
給水システム透析治療停止、衛生管理困難高い
情報システム電子カルテ停止、検査データ消失中程度
空調システム手術室の清浄度低下、感染リスク増大中程度

 

そのほかで言いますと、情報システムが停止するとカルテや検査結果の確認ができず、治療判断を誤る危険があります。さらに複数システムの同時停止は病院機能を麻痺させ、停電による排水ポンプ停止は被害拡大を招きます。冠水や交通途絶で職員の出勤が難しく、人員不足の中で医療提供を迫られる危険性があります。

 

2.豪雨・台風による病院浸水被害事例

近年、病院における浸水被害は深刻化しており、医療サービスの継続に大きな影響を与えています。実際の被害事例を通して、浸水が病院機能に与える影響の深刻さを理解することが重要です。これらの事例から学ぶことで、効果的に備えることができます。

2-1.地下設備の浸水による電源喪失と診療停止

2019年の台風19号では、関東地方の複数の病院で地下に設置された電源設備が浸水し、診療機能が停止する事態が発生しました。

ある総合病院では、地下1階の自家発電機室が約1.5メートル浸水したことで、非常用電源が完全に機能を停止しました。その結果、人工呼吸器や透析装置などの生命維持装置が使用不能となり、患者の緊急搬送を余儀なくされました。また、電子カルテシステムも停止し、診療業務の継続が困難となりました。

 

被害項目具体的な影響復旧までの期間
自家発電機完全機能停止、交換必要2週間
電気設備配電盤の浸水、ショート10日間
医療機器MRI、CT等の精密機器停止1か月以上

 

ある九州の病院では、大雨で地下にある電気設備が水浸しになり、二日間以上も外来の診療を休まざるを得なくなりました。

この病院では、地域の基幹病院としての役割を担っていたため、周辺地域の医療体制にも大きな影響を与えました。

2-2.エレベーター・医療機器停止による患者安全への影響

浸水はエレベーターや医療機器の停止を招き、患者の安全に直結する危険を生じさせます。

実際に、豪雨によって集中治療室(ICU)の患者が階段での搬送を強いられ、スタッフの負担増と生命リスクが発生しました。認知症患者の避難が困難になったり、透析装置が全損して治療継続に支障が出たりした事例もあります。さらに停電により手術中の照明や麻酔器が停止し、緊急手術を中断せざるを得ないケースも報告されています。

 

3.建物と設備でできる病院の浸水対策

病院の浸水対策は、継続的な医療提供を確保するために欠かせない取り組みです。過去の水害事例を踏まえると、建物構造と重要設備の適切な配置・強化が被害軽減の鍵となります。ここでは、具体的な対策方法を詳しく解説します。

3-1.重要設備の高所移設(自家発電機など)

病院機能を維持する上で最も重要なのが、重要設備の浸水からの保護です。従来、多くの病院では自家発電機や医療ガス設備を地下や1階に設置していましたが、この配置が浸水時の機能停止につながっています。

3-2.自家発電機の最適配置

自家発電機は病院の電力供給の生命線となる設備です。浸水対策として以下の配置が効果的です。

 

配置場所メリット注意点
屋上設置浸水リスクが最も低い騒音対策・メンテナンス性
2階以上の専用室メンテナンス性が良好荷重対策・振動対策
高床式の1階設置既存建物での改修が容易想定水位を上回る高さ確保

 

3-3.医療ガス設備の浸水対策

酸素や窒素などの医療ガス設備も、患者の命に直結する重要なインフラです。医療ガスの供給設備を高い場所に移動させることは、手術室や集中治療室での治療継続を可能にします。

具体的な対策としては、酸素ボンベ庫や液体酸素貯槽を2階以上に設置したり、配管ルートも浸水しない高さに変更したりすることが求められます。また、予備の医療ガス供給システムを別の建物や違う階に分けて配置することで、万が一の事態にも備えられます。

3-4.排水ポンプシステムの強化

多重化された排水ポンプシステムの導入により、大量の雨水や河川氾濫による浸水に対応できます。効果的なシステム構成は以下の通りです。

  • 主ポンプ・予備ポンプの2系統以上の設置
  • 異なる動力源(商用電力・自家発電・バッテリー)によるポンプ運転
  • 水位センサーによる自動運転システム
  • 可搬型ポンプの準備と操作訓練

特に地下駐車場や地下設備室を持つ病院では、通常時の雨水排水能力の3倍以上の能力を持つポンプシステムが必要とされています。

3-5.非常用電源の複数設置

電力供給の信頼性向上のため、複数の非常用電源を組み合わせた多重化システムが効果的です。

 

電源種別供給時間主な用途
UPS(無停電電源装置)10-30分医療機器の瞬停対策
蓄電池システム2-8時間重要医療機器の継続運転
自家発電機72時間以上病院全体の基本機能維持

 

3-6.止水設備の整備

建物への浸水を防ぐ止水設備として、以下の製品の設置が推奨されます。

  • 止水板:出入口への設置で浸水の侵入を防止
  • 防水シート:窓や開口部の緊急時封鎖用
  • 逆流防止弁:下水道からの逆流防止

これらの設備は、定期的な点検や交換、そして職員による設置訓練が必要です。特に止水板は、浸水のおそれがあるときにすぐに設置できるよう、各出入口の近くに保管し、設置の手順をはっきりさせておくことが大切です。

3-7.緊急時医療継続用品の備蓄

浸水により通常の医療機器が使用できない状況に備え、以下の用品を高所に備蓄することが求められます。

  • 手動式医療機器(手動式人工呼吸器など)
  • バッテリー駆動の医療機器
  • 応急処置用医薬品・医療材料
  • 患者搬送用具(ストレッチャー、車椅子)

これらの備品は、想定される浸水レベルをはるかに超える高い場所に保管し、職員が緊急時にすぐ取り出せるようにしておくことが大切です。また、定期的に使えるかどうかを確認したり、新しいものに交換したりすることで、いざという時にも確実に使えるようにします。

 

4.職員と患者を守るための運用ルール

病院における浸水対策は、設備面だけでなく、職員の迅速な対応と患者の安全確保が極めて重要です。水害発生時に適切な行動を取るためには、平常時からの準備と訓練が欠かせません。

4-1.防災訓練・止水板設置訓練の実施

病院では年2回以上の水害を想定した防災訓練を実施し、全職員が浸水対策の手順を習得する必要があります。訓練では実際の水害発生時と同様の状況を想定し、職員一人ひとりが自分の役割を理解して行動できるよう徹底します。

4-2.重要書類と医療情報の保護

診療録やカルテなどの重要書類は、浸水想定区域外の上層階に保管します。電子カルテシステムのサーバー室も浸水対策を施し、データのバックアップは院外の複数箇所に保管します。患者の投薬情報や既往歴などの緊急時医療情報は、防水ケースに入れて各病棟に配備します。

 

5.浸水被害を想定した地域の連携

病院における浸水対策では、建物や設備への対策だけでは不十分です。災害時に医療機能を継続するための事業継続計画(BCP)の策定と、地域医療機関や行政との連携体制の構築が必要不可欠です。

5-1.浸水レベル別の医療機能継続計画

想定される浸水の深さに応じて、医療機能の継続可能性を判断し、段階的な対応計画を策定します。地下1階まで浸水した場合、地上階への機能集約が必要となり、浸水深50cmを超える場合は外来診療を休止し、救急医療と入院患者管理に特化した運営体制に切り替えるといった具体的な判断基準を設定します。

5-2.地域医療機関との協力

近隣の病院や診療所と、災害時相互支援協定を締結することも有効な水害対策です。特に、立地条件が違う医療機関と連携することで、浸水リスクの高い低い場所にある病院と、高台にある病院が互いに助け合える体制を作るのが効果的です。

5-3.情報発信体制の整備

災害時においても確実に情報発信できるよう、複数の通信手段を確保し、情報発信担当者を複数名指名しておきます。携帯電話、衛星電話、防災無線など、浸水による通信障害を想定した多重化された通信体制の構築が重要です。

5-4.定期的な訓練と計画の見直し

災害時にBCPを役立てるには、定期的な訓練と見直しが欠かせません。年2回ほどの防災訓練で浸水を想定した動きを取り入れ、患者の移動や最低限の医療を続ける練習を行うことが大切です。さらに、地域の病院や行政と一緒に訓練を行えば、協力体制の確認や改善点が見えてきて、いざという時に安心して動ける仕組みづくりにつながります。

 

まとめ

病院の浸水対策には、発電機や医療ガス設備を高い場所に移すことや、排水ポンプを強化するといった建物面での工夫と、防災訓練や事業継続計画(BCP)の準備といった運営面の両方が欠かせません。これまでの水害では、地下にある設備が水につかって電気が止まり、診療ができなくなる例が多く見られました。患者さんの命を守り、医療を続けるためにも、日ごろからしっかり浸水対策を進めておくことが大切です。

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